『肩こりの症状、原因』

肩こりでお悩みの方は多くおられます。一般的な肩こりですが、症状・原因はさまざまです。

肩こりの症状がひどくなると日常生活さえ困難になる場合があります。

肩こりのため、自律神経失調症うつ状態となる方も珍しくはありません。

病院で治療をしても、マッサージなどを受けてもすぐに再発する場合は注意が必要です。大きな病気が隠れている場合もあります。

吐き気、頭痛、倦怠感などの症状を伴う肩こりは、早急な治療が必要となります。

肩こりを治すためには、肩こりの症状・原因・治療について詳しく知る必要があります。このページでは、肩こりを治したい方のために、肩こりの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

 


「⒈肩こりとは」

肩こりとは、首から肩にかけての筋肉が姿勢を保つために緊張して、血行が悪くなり、重く感じる症状です。

首や肩の周辺には、さまざまな筋肉が集まっています。

二足歩行をする人間の首や腰には、もともと負担がかかりやすく、重たい頭や腕を支える肩には大きな負担がかかります。

重さを支える肩や背中の筋肉は、常に緊張して疲労している状態です。硬くなった筋肉によって血行不良をおこしたり、末梢神経が傷ついたり、いくつかの要因が関連しあって肩こりを引きおこします。

首や肩の筋肉の緊張が続くと、筋肉に疲労物質(乳酸など)がたまって硬くなります。これにより血管が圧迫され、血液の循環が悪くなります。その結果、こりや痛みをおこし、末梢神経が傷つけられることがあります。

血行不良によって、筋肉への十分な酸素や栄養が行き渡らないことから、ますます疲労がたまり筋肉が硬くなるという悪循環を繰り返します。

長時間のデスクワークやイスと机のアンバランス、ゆがんだ姿勢を続けることで筋肉の疲労や緊張はよりひどくなります。

カバンを持つ手がいつも同じであったり、ショルダーバッグをかける肩が無意識に上がっていたりすると、左右の肩の高さが異なってくることから、片側の肩こりがひどくなってしまいます。

また、冷房のきいた部屋に長時間いると、体が冷えることで、血行不良がおこり、肩こりをおこしやすくなります。

 

 

「⒉肩こりの症状」

肩こりの症状は、首から肩にかけての筋肉が硬くなったような圧痛から、筋肉が緊張し手でつかんだり押したりすると、痛みや不快感が生じるようになります。

初期の段階では、腕のつけ根から首への肩上部にある僧帽筋(そうぼうきん)が緊張して張り詰めることで、肩の動きの違和感、肩甲骨・頸部の重たさや硬さを感じるようになります。

この段階で「肩がこった」と感じる人は、ほとんどが手で反対側の肩をつかんだり、押したりして柔らかくしようとしますが、簡単にこりは解消しません。

肩こりが進むと、重い砂袋が詰まっているような、セメントで固定されたような、または鉄板で動きを封じられているような硬さと痛み、不快な症状を感じるようになっていきます。

このときには、肩上部だけでなく、首にも芯が通って固定されたように感じます。肩甲骨から背中にかけても、一枚の鉄板を貼っているような硬さを感じるようになります。

筋肉の疲労から弾力をなくしているので、痛み解消のために首を回すとボキボキ音がしたり、肩関節や背中を動かして骨が鳴ったりするのを気持ちよいと感じます。しかし、これでこりが解消するわけではありません。

肩こりや背中の痛みが進行すると、肩や腕、指先にまで痛みやしびれが出てくることがあります。 肩こりから首のこりによって、頸椎(けいつい)を通る神経を包み込んでいる神経膜が傷つき炎症をおこして、神経痛に至ってしまうのです。

その他に、筋緊張性の頭痛、吐き気、めまい、眼精疲労、歯痛などを併発、または誘発することがあります。

 

 

「⒊肩こりの原因」

肩こりの原因は、長時間のデスクワークや姿勢の悪さ、体の冷えなどが指摘されていますが、こりをおこす3大原因があります。

【筋肉疲労

毎日、パソコンを使った事務仕事で同じ姿勢を取り続けたり、長時間車を運転したりすると、緊張を強いられます。

同じ姿勢でいると、肩こりや腰痛の原因となります。

筋肉が緊張して疲れてくると、筋肉の中で酸素不足が起こり、疲労物質である乳酸などが蓄積していきます。

これによって、筋肉が硬くなり、こりやだるさを感じるようになります。同じ姿勢や同じ筋肉を使い続けることが、こりの原因になります。

【血行不良】

筋肉が硬くなると、血行が悪くなりさらに筋肉を硬くしていきます。お風呂に入ったり、あたたかいシャワーを肩や首に浴びたりすると、マッサージ効果で肩こりや腰痛は楽になります。温めることで血液の流れがよくなるからです。

疲れて硬くなった筋肉は、周囲の血管を圧迫して、血行を悪くします。血行が悪くなると、硬くなった筋肉の疲労物質の乳酸などが排出されず筋肉内にとどまってしまいます。

また、筋肉に届くべき酸素が不足してさらに乳酸を作るので、筋肉が硬くなっていきます。 この悪循環で肩こりは、ひどくなっていくのです。

 

【抹消神経のダメージ】

肩こりの場所がいつも同じところで、もんでもマッサージしても改善しないことがあります。このような肩こりは、末梢神経がダメージを受けている可能性が考えられます。末梢神経は全身に張りめぐらされていて、痛みやしびれを脳に伝える神経です。

硬くなった筋肉やたまった乳酸などの刺激によって、筋肉の近くを通る末梢神経が圧迫され、ダメージを受けてしまいます。これによって、その場所に違和感が生まれたり、ジーンとする圧迫感や張りをこりや痛みとして感じたりするのです。

 

 

「⒋肩こりの治療」

肩こりの治療は、肩もみ、肩たたき、マッサージ、ストレッチ運動などのセルフケアによって、ある程度は改善できます。

また、肩こり治療薬も多く市販されているので、自分の症状や好みによって、塗り薬や張り薬などを使う人も多いでしょう。

しかし、慢性的にこりがあって解消しないとき、頭痛や吐き気、胸の傷みなど別の症状が伴っているときなどは、できるだけ早く治療を受けてください。

  • 肩こりの痛みがひどい、片側に痛みが固定している、頭痛やめまい、吐き気、しびれなどがあるときは、他の疾患が隠れている場合があるので早急に専門医の診察を受けましょう
     
  • メガネが合っていない、歯に問題がある(虫歯やかみ合わせなど)場合にも、肩こりがおこります。眼科や歯科を受診して、肩こりの原因疾患を治しましょう。
     
  • 肩こりだけでなく、首のこりや腰痛も伴っている場合には、頸椎・腰椎椎間板(ようついついかんばん)に問題が生じていることもあります。頸椎から腰椎までの椎間板や四十肩、五十肩など、原因を調べ、的確な治療をしていきましょう。

肩こりの解消法として、市販薬を利用する人が多くいます。痛みの場所や症状によって、適切なものを使うことが大切なので、慎重に選ばれてください。

代表的な肩こりの薬として

  • ゲル、クリーム剤・・・伸びがよく刺激が少ないので、貼り薬が使いにくいところに使用できます。
     
  • エアゾール・スプレー剤・・・冷却効果が期待でき、速乾性があって衣服や手を汚さず使えます。
     
  • ローション・液体薬・・・冷却効果が期待でき、浸透感があって使いやすいです。
     
  • 貼付剤(パップ)・・・急激な痛みがあるときに使います。
              (冷感タイプ)冷却効果で急性期に効果があります。
              (温感タイプ)血行促進効果があるので慢性期に効果があります。
     
  • テープ剤(プラスター)・・・薄くはがれにくいので、有効成分が継続して浸透しやすくなります。

ビタミン剤(ビタミンB1、B12、E)の服用で、体の内側から筋肉疲労、血行不良、末梢神経のダメージを改善することができます。

肩こりはとても苦しい症状です。自律神経にも影響を与えますので、動悸・不安・息苦しさ・吐き気などの症状を伴う場合も多くあります。

どこへ行っても治らない肩こりの場合、大きな病気が隠れている事も多くあります。簡単に考えがちな肩こりですが、ご本人にとってはとてもつらい病気です。肩こりは、隠れている根本原因を見つけ、しっかりと治療をすればよくなる病気です。どうぞあきらめないで下さい。